冷えると固まって取れにくい油汚れなど、「熱いお湯で高圧洗浄機を使いたい」と思うことはありませんか?
実は、高圧洗浄機は限界給水温度が決まっているので、単純にお湯を入れればいいというわけではないんです。
今回の記事は、意外に知られていない高圧洗浄機を使う際の給水温度についてご説明します。
【目次】
■ 高圧洗浄機を使える許容水温って?
■ 許容水温を超えての使用はNG!
■ 高温水での洗浄がメインなら温水高圧洗浄機がおすすめ
■ 高圧洗浄機を使える許容水温って?
家庭用高圧洗浄機といえば冷水高圧洗浄機を指し、常温からぬるま湯程度の水温が許容範囲です。なので、家庭用の高圧洗浄機に温水を利用することは、機器の故障に繋がりますので絶対NGです。
家庭用と比較して、業務用として販売される高圧洗浄機は「冷水高圧洗浄機」と「温水高圧洗浄機」に分かれています。
業務用は、家庭用の機種に比べて各パーツや構造が丈夫なつくりになっているので、冷水高圧洗浄機であっても許容水温の上限(限界給水温度)が高く設定されており、「最大60℃まで」とうたっている機種も多くあります。
だからといって60℃ぎりぎりの高温水で使い続けるのは実際のところ高圧洗浄機本体にとってはあまり良いことではありません。
60℃といえば一般的な感覚でいえば「熱めのお湯」ですので、常温水と比べると機械への負担がかかってしまいます。
また、万が一何かのトラブルで本体に熱が発生した場合、本体の熱によって水がさらに加熱され、許容水温を超えて大きな破損に繋がる危険性が高まります。
■ 許容水温を超えての使用はNG!
では許容水温を超える高温水で高圧洗浄機を使った場合、具体的にはどのようなトラブルが発生するのでしょうか。
機械本体が高温になるトラブル事例の代表的なものが、高圧洗浄機のアンローダー部(水を通出したり、止めたりにかかわる部分)が破損した場合などに、圧がかかりっぱなしになりモーターが回り続ける状況です。
気付かずにそのまま使用していると、モーターがひたすら回り続けて機械本体が発熱し、それに伴って水温も上がっていきます。
常温水で使用していれば、機械の熱で温まったとしても熱湯になるまで水温が上がりきるケースはほぼありませんが、許容範囲ぎりぎりやそれ以上の高い水温で使用していた場合には、あっというまに熱湯になってしまいます。
水温が75~80℃になると、ほぼ確実にキャビテーションが発生します。
※キャビテーションとは…キャビテーション(英: cavitation)は、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象である。空洞現象ともいわれる。(Wikipediaより引用)
水の中に気泡が混ざることで「エア噛み」を頻発する、ポンプ内に急激にダメージが起きるなど、重大な故障に発展してしまいます。
また、パッキン部分やブラスチック素材(業務用であっても機種・メーカーによって一部部品にプラスチックを使用している場合があります)のような高熱に弱い部品が溶けたり変形したりすることもあります。
水温が許容範囲内であっても、上限ぎりぎりの水温で使用する事が多い場合には温水高圧洗浄機の導入をおすすめします。
■ 高温水での洗浄がメインなら温水高圧洗浄機がおすすめ
温水高圧洗浄機は、100℃近い熱湯を噴射するものや、それよりさらに高温でスチームを噴射することができるものまで様々です(吐出温度は機種により異なります)。
吐出する水温の熱湯を機械に通すわけではなく、水の供給は冷水高圧洗浄機と同じく、水道などから行い、高圧洗浄機内のポンプを通して圧をかけてから急激に加温し、吐出します。ポンプを通る段階では高温になっていないため、機体にダメージを与えずに熱湯を吐出できるのです。
給水時の水温(ポンプを通る時の水温)が高ければ冷水高圧洗浄機と同じく負担がかかるため、冷水高圧洗浄機・温水高圧洗浄機にかかわらず、給水は常温に近い水温の方が機械に負担を与えにくく、故障のリスクを抑えて使用できます。
温水高圧洗浄機を選ぶ際は油汚れへの使用や殺菌を兼ねる場合は吐出温度が高いものをおお選びいただくのが良いかと思いますが、洗浄する対象物側に温度上限があり、「75~80℃」のように少ない誤差の水温で洗浄する必要がある場合にはサーム895-1などのボイラー稼働率を指定するモードが搭載された温水高圧洗浄機がおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
業務用高圧洗浄機は冷水・温水とも、家庭用以上にバリエーションが豊富です。たっぷりの水量で洗い流したい、安定した温度で使いたい、パワーがある機種が良いなど、現場によっても重視する条件は様々。
どれが良いのか迷ったら、ヒダカショップまでお気軽にご相談ください!